私は戦争が好きだ

諸君 私は戦争が好きだ
 諸君 私は戦争が好きだ
 
諸君 私は戦争が大好きだ

 殲滅戦が好きだ 電撃戦が好きだ 打撃戦が好きだ
 防衛戦が好きだ 包囲戦が好きだ 突破戦が好きだ
 退却戦が好きだ 掃討戦が好きだ 撤退戦が好きだ

ヘルシング4巻より引用。引用部分は読み飛ばしていただいても結構です。

 平原で 街道で
 塹壕で 草原で
 凍土で 砂漠で
 海上で 空中で
 泥中で 湿原で

 この地上で行われる ありとあらゆる戦争行動が大好きだ

 戦列をならべた砲兵の一斉発射が 轟音と共に敵陣を吹き飛ばすのが好きだ
 空中高く放り上げられた敵兵が 効力射でばらばらになった時など心がおどる

 戦車兵の操るティーゲル の88mm が 敵戦車を撃破するのが好きだ
 悲鳴を上げて 燃えさかる戦車から飛び出してきた敵兵を
 MGでなぎ倒した時など胸がすくような気持ちだった

 銃剣先をそろえた歩兵の横隊が 敵の戦列を蹂躙するのが好きだ
 恐慌状態の新兵が 既に息絶えた敵兵を 何度も何度も刺突している様など感動すら覚える

 敗北主義の逃亡兵達を街灯上に吊るし上げていく様などはもうたまらない
 泣き叫ぶ虜兵達が 私の降り下ろした手の平とともに
 金切り声を上げるシュマイザーに ばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ

 哀れ な抵抗者達 が 雑多な小火器で健気にも立ち上がってきたのを
 80cm列車砲 の4.8t榴爆弾が 都市区画ごと木端微塵に粉砕した時など絶頂すら覚える

 露助機甲師団に滅茶苦茶にされるのが好きだ
 必死に守るはずだった村々が蹂躙され 女子供が犯され殺されていく様は とてもとても悲しいものだ

 英米の物量に押し潰されて殲滅されるのが好きだ
 英米攻撃機 に追いまわされ 害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ


 諸君 私は戦争を 地獄の様な戦争を望んでいる
 諸君 私に付き従う大隊戦友諸君
 君達は一体 何を望んでいる?

 更なる戦争を望むか?
 情け容赦のない 糞の様な戦争を望むか?
 鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の鴉を殺す 嵐の様な闘争を望むか?

 「 戦争!! 戦争!! 戦争!! 」

 よろしい  ならば戦争だ

 我々は満身の力をこめて今まさに振り下ろさんとする握り拳だ
 だがこの暗い闇の底で半世紀もの間 堪え続けてきた我々に ただの戦争では もはや足りない!!

 大戦争を!! 一心不乱の大戦争を!!

 我らはわずかに一個大隊 千人に満たぬ敗残兵にすぎない
 だが諸君は 一騎当千 の古強者だ と私は信仰している
 ならば我らは 諸君と私で総兵力100万と1人の軍集団となる

 我々を忘却の彼方へと追いやり 眠りこけている連中を叩き起こそう
 髪の毛をつかんで引きずり降ろ し 眼を 開けさせ思い出させよう
 連中に恐怖の味を思い出させてやる
 連中に我々の軍靴の音を思い出させてやる

 天と地のはざまには 奴らの哲学では思いもよらない事があることを思い出させてやる

 一千人の吸血鬼 の戦闘団で
 世界を燃やし尽くしてやる

 「最後の大隊 大隊指揮官より全空中艦隊へ」

 第二次 ゼーレヴェー 作戦 状況を開始せよ
 
征くぞ 諸君

参考
諸君 私はマネーゲームが好きだ(村上ヘルシング) - FIFTH EDITION※これはイラスト付き!村上ファンドネタ。臨場感あります。と言うか必須で見なさい。
諸君 私はプログラミングが好きだ : 小野和俊のブログ※これはIT関係者向きかな。

先週この文章をウェブ上で見つけて読み、この文章に魅せられて、原本であるヘルシングを全巻購入した。*1 実は社会人になってからはじめての漫画購入だった。(訂正−課長島耕作です)それほどの衝撃を私に与えた文章であった。漫画を読んでいくと、この演説をする彼(=少佐)は何かの目的のために手段を選ばない戦争をするのではなく、戦争(=手段)のためには目的を選ばないと言う意味不明な思考回路を持っている。「戦争ができれば目的なんてなんだって良い!」なんてほんと意味不明だ。しかし少佐はカリスマなんだけど。。。

20世紀以降、戦争は「自衛」と言う名の目的にしか行われていない、侵略が目的というのはないと言う話がある。「やらなきゃ自分たちがやられる、だから自分たちがやるしかない」と言う大義名分が全てにあてはまるのだ。ナチスですら「自衛」という目的でポーランドを攻め、ユダヤ人を虐殺した。自分たちが生きていくためには戦争をするしかなかったのだ。アメリカとイラクだってどっちもそう。
その話が本当に正しいのであれば、「自衛」と言うのは目的であることに加えて、自分自身が生きていくための生理的に必要な行動ということもできる。つまり弱肉強食の原理であり、目的と行動が一致する。

戦争の目的は自衛である

自衛とは、やらなきゃ自分たちがやられるという生命の存続のための行動である。

生命の存続と種の保存・繁栄のための行動とは欲求(cf.食欲、睡眠欲、性欲の三大欲求)のことである。

戦争は欲求である。

このフローをたどると、少佐の思考回路は、戦争が「自衛」などの過程を全て飛ばして欲求になってしまっているのではないか。少佐の行動基準は食欲、性欲、睡眠欲、(戦争欲)の四大欲求なのだ。生きるために食べ、子孫を残すために殖し、生きるために寝て、生きるために殺す。いつから殺さないと生きられない時代になったのだ。

大げさ過ぎた。
しかし戦争は「自衛」と言う名の生命存続のための行動である。ということは否定はできない。

「自衛」によって多くの生命が奪われていく。
「自衛」のためならば何をしても良いのか。
いつのまにか戦争が欲求になっていないか、わたしたちは考えなきゃいけない。


平野 耕太 / 少年画報社(2006/07/26)
Amazonランキング:5648位
Amazonおすすめ度:
この巻はすごい
感動的な迫力
王立国境騎士団

*1:知人のみ今なら無償で貸し出し受付中。わたし宛にメッセージ下さい