トヨタの闇は日本の闇:『トヨタの闇』渡邉正裕 林克明

いい意味でも悪い意味でもトヨタの大きさを感じられる一冊。トヨタの車に乗る人は是非読んでおいてほしい本であり、トヨタの現状を知って自分に当てはめて考えてほしい本。

第一章 トヨタの本質はなぜ報じられないのか
    ―広告料日本一の圧力
第二章 トヨタの社員は幸せか
    ―職場環境の実態
第三章 トヨタ車の性能は高いのか
    ―実は欠陥車率99.9%
第四章 下請け社員を苦しめていないか
    ―「自動車絶望工場」のトヨタ下請け
第五章 世界での評判
    ―広がる反トヨタ・キャンペーン
第六章 やっぱり大問題を起こしたトヨタ
    ―今回も反省なし

「会社を経営していく」ということを目的とするならば、トヨタは素晴らしい会社と言えるかもしれない。しかし、「人を幸せにする、社会に貢献する」などを目的とするならば、素晴らしいとは言えない。広告料によるメディアの統制、トヨタブランドとして社員の統制、車の製造台数をベースとした下請けへの大量発注、労働組合御用組合とする昇格制度、そしてリコール隠し問題。

この問題はトヨタだけで考えるべきところではない。「
会社の業績を良くするためにサービス残業を行う。会社側としては、「これを行わなければ、明日の会社は無い」と迫る。対抗しようとすると、御用組合から圧力を受け、社内的に抹殺されるようになる。

2010-11-11
土台に仕事があり、その仕事のおかげで経済力が得られる。反対にいえば、仕事を失うと経済力を失う。次に、仕事と経済力があるから「社会的に一人前」と認知され、社会的地位が認められて初めて結婚できる。すると最後に、自分には生きる意義がある、人生は楽しいと思える。つまり、仕事をベースとし、人生の有意義感を頂点とするピラミッド構造が存在する。

もし本当にこういう構造だとすれば、仕事が得られないと他のなにも手に入らなくなり、「人生が詰んでいる」「生きている意味がない」みたいになる。

自らの意思で会社(仕事)に依存してしまった結果の一つがこの顛末なのであれば、まだいい。会社(仕事)に依存せざるを得ない環境が作られているとしたら、どうしたらいいのだ。そう、トヨタの闇は、日本の闇だ。