赤めだか

立川談志の弟子が描く青春落語エッセイ。立川談志とのエピソード、兄弟との青春活劇、今後の立川流について、余すところ無くちりばめられ、笑える。そして考えさせられる。

立川 談春
扶桑社
発売日:2008-04-11

自分が何をしたいのか、自分が何によって知られたいのか、を。

今の前座、二ッ目達は(くどうようだが談志直門の)あまりに知恵がない。
知恵で真打になったものに真打になった例に立川談笑がいる。彼は前座や二ッ目が何度受けても受からない歌舞伎音曲の試験を早々にクリアした。談笑という男、大柄でどう見ても、踊りが上手そうには見えない。しかし、並みいる先輩達を抜いて、真打になった。決め手となったのは旅姿三人男を当て振りで踊ったことだと他所から聞いた。そのセンスを談志が認めたらしい。勿論、談笑の落語に向かう姿勢を認めたからこそのOKだったのだろうが、とにかく談笑は真打になった。
談志を喜ばそうと考え、行動した談笑を談志が認めたということだ。他の者は皆真面目で懸命に唄を習い、踊りを覚えるために稽古に通っているらしいが、そんなことは無駄なことだ。

近くの目標だけでなく、遠くの目標を見据える。歌舞伎音曲の試験に通ること、ではなく、真打になること、そして人を笑わせるということ。自分の人生においても同じ。
まず、遠くの目標を決める。遠くの目標があるからこそ、近くの目標に対する考えが及ぶ。近くの目標に対してどう接するのか、どう対処するのか。どの部分が大事で、どの部分は手を抜いても良いのか。

そういうことを考えさせられる本。