新入社員にお勧めの3冊

新入社員に向けて、お勧めしたい3冊。どの本も、何回も繰り返して読むことで味が出てくる書籍。この4月中、ゴールデンウィーク前までに読んで、一ヶ月間で社会人を肌に感じたこととあわせて、ゴールデンウィークでしっかりと人生について考えて欲しいと思う。

ウェブ時代をゆく

多くの事が示唆されている本書だが、新入社員がまず読むべきは、第四章のロールモデル思考法と第六章大組織VS小組織。第四章では、社会という荒波に出た中で、どのように道標を持って進路を取るべきか、という問いに対し、

外界の膨大な情報に身をさらし、直感で「ロールモデル(お手本)」を選び続ける。たった一人の人物を盲信するのではなく、「ある人の生き方のある部分」「ある仕事に流れるこんな時間」「誰かの時間の使い方」「誰かの生活の場面」など、人生のありとあらゆる局面に関するたくさんの情報から、自分と波長の合うロールモデルを丁寧に収集するのである。

という答えを用意している。つまり、周りの人のアドバイスに対し、良いところどりをして自分のものにしていく思考だと思う。新入社員の頃は、周りの先輩や上司が、それこそ、相手の都合も考えずに、アドバイスをしてくれる。それに対し、全てのことに対応するのではなく、自分と波長の合うものを選び取っていけば良い。

第六章では大企業で働くことの向き不向きを考える必要性について述べている。著書からではなく、梅田氏のブログから以下を転載させていただくが、以下のような問いを働きながら自分自身に問いかけ続けていくことは、これからの社会で生きていく上で重要なことだと思う。

「好きを貫く」ことと大企業への就職 - My Life Between Silicon Valley and Japan

  • 与えられた問題(課題)を解く(解決する)のが好き。その問題(課題)を解く(解決する)ことにどういう意味があるかとかよりも、その問題が難しければ難しいほど面白いと思う。
  • Whatへの「好き嫌い」やこだわりがあまり細かくなくおおらか。一緒に働く人への「好き嫌い」があまりない。そして苦手(つまり「嫌い」)を克服するのが好き。
  • 尋常でない体力(特に何十年も長時間労働ができる持久力)を持ち、そこが競争優位になる世界が好き。
  • 匿名性を好む。「これは自分がやったことだ」というような意志表明(自分の名前で仕事をすること)にあまり興味を持たない。むしろ一人ではできない大きなことを仕事ではしたいと考える(たとえば世界中に普及する自動車の開発に関与したというようなことを好む)。
  • パワーが好き。政治的行動が好き。責任感が強い。いずれは組織の長になってそのパワーを行使することで何かを成し遂げたいと思う(社会貢献みたいな達成、共同体の家族も含めた幸福にコミットするとかも含めて)。
  • 組織の一員であることの「気楽さ」、「安心感を持ちつつ生活できる」ことが好き。
  • 短期決戦型勝負よりも長期戦のほうが好き。
  • 「巨大なものが粛々と動いていく仕組み」みたいなものが好き。工場が好き。プラントが好き。巨大建造物が好き。社会のルール作りみたいなこと(立法っぽいこと)が好き。
  • 「これが今から始まる新しいゲームだ」と「ルール」を与えられたとき、そのルールの意味をすぐに習得してその世界で勝つことに邁進する、みたいなことが好き。

こうした一つ一つの「好き」のいくつかの組み合わせがかなり極まっていて、大組織の中で本当に心から楽しそうに仕事をしている人が日本企業にはかなりいて、見ていてその生き方に感動することもあるし、個として「好き」を貫いていて素晴らしいと思うことも多い。ただこういう要素のすべてに直感的に「ノー」と違和感を覚える人がいるとしたら、絶対に大企業には向いていないと思うよ。大企業の中で長く「好きを貫く」ことは難しいのではないだろうか。「なぜ若者は三年で・・・」みたいな話になっちゃうんじゃないかな。

私の仕事術-松本大

内容は、私の仕事術‐松本大 - maki_laxねこにっきを参照いただくとして、なぜこの本を勧めたいかと言うと、ロールモデルにぴったりの人物だから。
大組織で生きていくロールモデルにも、小組織で生きていくロールモデルにもなり得る人物は少ない。松本大さんは、確固とした仕事の倫理観と信義を持つため、どのような組織においてもロールモデルとなる。新入社員は、彼を最初のロールモデルとし、良いところどりをしていくのが良いように思う。

「残業ゼロ」の人生力

この時間にブログを書いている自分へ、自戒を込めてこの一冊。弾さんのこの一言が核心をついている。

404 Blog Not Found:この夏の日本に最も必要な一冊 - 書評 - 「残業ゼロ」の人生力

仕事がなくても人生はありうるが、人生なくして仕事もへったくれもない。

仕事よりも人生を選ぼう。ワークライフバランスは人それぞれ、人生の中での仕事の位置づけをしっかり考えられる社会人になるべき。