立ち向かうと逃げる

世間で流行っているという蟹工船を読む。うーん。正直あまり考えさせれれることもないし、今の日本の状況に似ているとも思えない。だって今の日本って体制に立ち向かうって言うより、体制から逃げている方向に動いているような気がするから。

まず表紙の赤さからし共産党。この話自体は共産党機関紙「戦旗」に発表された小林多喜二の第二作であり、プロレタリア文学の傑作とされている本。共産党ぽさを感じない一揆ものというか、革命もの文学という印象を受けた。「共産党入門」という形としては価値ある文学かもしれない。
http://sankei.jp.msn.com/culture/books/080514/bks0805140802000-n1.htm

「『蟹工船』を読んで、今のフリーターと状況が似ていると思いました」と発言。これに高橋さんが「偶然ですが、僕が教えている大学のゼミでも最近読みました。そして意外なことに、学生の感想は『よく分かる』だった」と応じる、という内容。
 この対談後、東京・上野の大型書店が、平積みにしてポップやパネルを使って販促を仕掛けると、多いときで週に80冊も売れるヒットとなり、他の大型書店が次々と追随、ブームに火が付いた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080831-00000011-maip-pol

小林多喜二の「蟹工船」ブームに乗る共産党の地方行脚に従来の支持層を超えて関心が集まっている。格差問題に対する取り組みなどが評価され、昨年9月以降の10カ月間で約1万人が新規に入党。

1:就職氷河期世代、フリーターやワーキングプア蟹工船を読んで共感。
2:蟹工船ブームに乗って共産党新規入党増える。
⇒いやいや、お前ら普通に間違えてるだろ。


蟹工船共産党という背景に共感するのではなく、その行動に共感するのが正しい読み方でしょう。実際、共産主義の匂いを感じさせるシーンはカムサツカの沖に打ち上げられた船員がロシア人と会話する一シーンだけ。
共産主義に傾倒するという行動ではなく、体制に立ち向かうという行動に考えがいかないとダメでしょ。何を考えて1万人は入党したの?政党の自由があるので深く何も言うことはないけど、安直な考えならばおかしい。その考えはうすっぺらいよ。

蟹工船 - Wikipedia
カムチャツカの沖で蟹を獲り、それを缶詰にまで加工する蟹工船「博光丸」。それは、様々な出自の出稼ぎ労働者を安い賃金で酷使し、高価な蟹の缶詰を生産する海上の閉鎖空間であり、彼らは自分達の労働の結果、高価な製品を生み出しているにも関わらず、蟹工船の持ち主である大会社の資本家達に不当に搾取されていた。
情け知らずの監督者である浅川は、労働者たちを人間扱いせず、彼らは懲罰という名の暴力や虐待、過労と病気(脚気)で倒れてゆく。初めのうちは仕方がないとあきらめる者もあったが、やがて労働者らは、人間的な待遇を求めて指導者のもと団結してストライキに踏み切る。
しかし、経営者側にある浅川たちがこの事態を容認するはずもなく、帝国海軍が介入して指導者達は検挙される。国民を守ってくれるものと信じていた軍が資本家の側についた事で、目覚めた労働者たちは再び闘争に立ち上がった。