コンテンツをどうやって所有するか

先日、会社の先輩と何気ない会話をしていて次世代DVDの話になった。

先輩:「HD-DVD買おうかなー」
わたし:「負けたのに何でですか?」
先輩:「今だったらHD-DVD安売りでしょう」
わたし:「いや、どちらにしろDVDいらないですよ。これからデータで買える時代がきますから」
先輩:「そうなの?でもさぁ、DVDで買ったものとデータで買ったものって気分的にDVDで買ったものの方が真剣に見れる気がするんだよね。」
わたし:「・・・?」
先輩:「気分的な問題だけなんだけど」
わたし:「そうですか?、わたしにはわからないですねー」

わたしは将来、ほぼ全てのコンテンツがネット上でやりとりされると思ってるし、されてほしいと思っている。それ故に次世代DVDを買う気はさらさらない。むしろ、わたしはそのことを待ち続けているが未だにTSUTAYAの会員になっていないし、DVDも片手で数えられるくらいしか持っていない。実際、itunesはその方向を目指しているので、大歓迎である。がんばってほしい。

むしろ、今後焦点があたって解決されるべきは回線速度の問題なのかもしれないとも思う。ネットから申し込んでDVD宅配とかのサービスもあるが、今後はむしろレンタルコンテンツに移っていくだろう(サービスの体系はともかくとしても)。
ただ、見過ごしてはいけないのは、先輩の言う「気分的な問題」なのかもしれない。

セカンドライフ

ふと頭に思いついたのは、セカンドライフである。昨年初頭に話題になっていたこのサービスだが、今では全く話題にあがらないものになってしまった。ハードウェアのスペックが足りない、遊ぶためには金銭を必要とし、会員数を一気に稼げなかった等、いろいろ理由はあるだろう。要は時期尚早だったのではないだろうか、というのがわたしの結論である。

セカンドライフはコンテンツがネットを介してデジタルで手にはいるようになってからこそ発展する。友人同士で「あの映画貸してやるからうちに来いよ!」「じゃ、今日の20時にお前の家行くわ!」そして、もちろんセカンドライフ上の彼の家には、映画がジャケットを纏った形で存在するのだ。人間の所有欲なんてほんの少しの発想で簡単に覆ることは既にレコードやCDの衰退が証明している。

所有欲は人に見せびらかすためにある

所有欲は「これはおれのモノだぞ」と他人に言うためにある。自分自身だけの世界で完結するモノじゃないんだ。
だからこそ、人はモノを買うし、欲しがる、買ったことを人に言う、公表する。ipodだってipodというモノを持つ所有欲を満たし、かつ音楽を所有しているという欲望をも満たしている。ほら、人に見せたでしょ?

所有欲なんて気分的な問題なのかもしれない。でも、ここには人間本来生理的な欲求との関わりがありそうである。

おもてなしの経営学

もちろん、私がアップルに期待しているのは(そしてたぶんディズニーが最終的に狙っているのも)、iPod向けのQVGAサイズのビデオ配信なんかではない。テレビにつないだ Mac 向けのDVD・HDTVクオリティのビデオ配信である。各家庭にハードディスクレコーダーを置く代わりに、コンテンツ配信者にはビデオデータを置いたサーバーからpodcast の仕組みで配信してもらい、いつでも見られる状態を実現するのである。こんなサービスが一度立ち上がってユーザーに認知されれば、最終的には既存の放送局もコンテンツを提供せざるをえなくなり、光ファイバーでのコンテンツ配信の時代への移行が一気に進むことになる。
Life is beautiful: アップルにして欲しい次の革命
おもてなしの経営学 P067

この続きはLife is beautiful: MacWorld: AppleはApple TVでキャズムを超えることができるか?で読むことができる。この流れは必然であろう。


わたしはテレビで見れる以上にAppleがどうやって生理的な所有欲を満たすのか、というところに注目している。