限界突破のためにできること

赤木智弘氏の『「丸山眞男」をひっぱたきたい』を遅らばせながらも読んだ。
「丸山眞男」をひっぱたきたい

一方、私はといえば、結婚どころか親元に寄生して、自分一人の身ですら養えない状況を、かれこれ十数年も余儀なくされている。31歳の私にとって、自分がフリーターであるという現状は、耐えがたい屈辱である。ニュースを見ると「フリーターがGDPを押し下げている」などと直接的な批判を向けられることがある。「子どもの安全・安心のために街頭にカメラを設置して不審者を監視する」とアナウンサーが読み上げるのを聞いて、「ああ、不審者ってのは、平日の昼間に外をうろついている、俺みたいなオッサンのことか」と打ちのめされることもある。

社会に出た時期が人間の序列を決める擬似デモクラティックな社会の中で、一方的にイジメ抜かれる私たちにとっての戦争とは、現状をひっくり返して、「丸山眞男」の横っ面をひっぱたける立場にたてるかもしれないという、まさに希望の光なのだ。

ワーキングプアや格差の問題についてNHKスペシャルを聞いたり、新書などで追ってはいたのだが、現実感はこちらの文章のほうがよっぽど強い。身に詰まらせる思いというのはこのことだろうか。
その現実感とは赤木智弘にひっぱたかれたくない! - アンカテのエントリーと同じように自分はひょっとしたら赤木氏にひっぱたかれる側にいるかもしれないという恐怖感があったからだ。

赤木さんにひっぱたかれる「丸山眞男」とは自分のことじゃないか!

格差是正の限界

赤木氏はその格差社会を訴えながらも、認めているように感じる。認めざるを得ないという言い方が正しいだろうか。
それは【赤木智弘の眼光紙背】第14回:今年も流れは変わらないのかにも表れている。

それから2005年も2006年も、そして2007年も、人間の価値は賃金のみで決まっていった。ならば当然2008年も、人間の価値は賃金のみで決まる。同じ流れはこれからも続く。「続かない」という可能性を、私は見つけることができない。

 そして私は「2008年も、去年と全く同じ流れになるんじゃないですか?」という、虚しい結論を出さなければならない。

格差は仕方がないという論調も最近ではかなり大きいため、世間の格差社会に対する寛容、いやむしろこれ以上格差問題を取り上げても仕方がないという格差是正議論の限界が見え始めているからかも知らない。最近のメディアでは富裕層がどうとか、これだけの格差ができるとか、格差社会でのマーケティングとか、格差前提の話ばかりになってしまった。
格差が広がるのは確かにしょうがないのかもしれない。そこから問題にするべきなのはどのように格差を広げるか?じゃないのかな。上へ延びる格差は良いんだよ、下に延びる格差をどうするかに議論をもっていかなきゃいけないんじゃないのかな。
danさんの言うように404 Blog Not Found:人間の価値を賃金の多少で差別したがるのは誰か?

この下りは、少なくとも赤木智弘に関しては嘘になる。なぜなら、「若者を見殺しにする国」が一応売れているからだ。全体としてどれほど売れているか、ましてや印税の契約がどうなっているかまでは知る由もないが、100万円を切ることはなかろう。少なくとも今年は「年収100万円」というのは、ありえないはずである。

そう、赤木氏は上に伸びていくかもしれない。だからこそ赤木氏に期待したいとも思う。下を知る人が上に行くことが格差議論を大きく動かしそうな気がするからだ。

○○限界論

昨年末に「OBIIの突き抜けろ!限界論」に参加したのですが、その会議全体のまとめは「気楽にいきましょう」だった。

「日本を今一度洗濯いたし申し候」と手紙に書き記した幕末の志士・坂本竜馬は小さなこと、つまらない事が嫌いだったと言われています。「最近○○がつまらない」「限界だ」と嘆いても何も変わりません。07年を振り返りながら、 08年にむけて明るく、前向きに皆で話し合うイベントにしたいと考えています。

と銘打った割には何とも拍子ぬけた結論が出てきてしまった。danさん(http://blog.livedoor.jp/dankogai/)とか佐々木さん(佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 - CNET Japan)とかはあちゅう(はあちゅう主義。)とか生で体感できたのは良かったのだけれども、最後ははあちゅうの「気楽さ」に空気飲まれた!という感じです。
ブログを気楽にやるのはいいけど、ブログ限界〜という話には気楽さはいらないでしょう。マネジメント・プラットフォームというような大きな話もあっただけに少し残念と言えば残念です。

※ただ、結論が???なだけで中身のほうはまぁまぁしっかりしていたんじゃないでしょうか。OBII事務局の皆様、当日はお疲れ様でした。ありがとうございました。

限界突破のキーワードは本気

danさんと森さん(特集 : 森祐治・情報経済への視点 - CNET Japan)が最後に言い合っていたことが、本当の意味での限界突破についての結論じゃないのかと思う。
結局は「日本はどれくらいやる気があるの?どれくらい本気なの?」という話なんだよ。
ITやウェブの世界の技術にしろ、舛添さんもお手をあげそうな年金問題にしろ、上記したワーキングプアなど広がりつつある格差社会にしろ、ブログ限界論でも何でもそうだけど、「あなたどれくらい本気で考えてますか、本気でやるつもりですか?」だよ。
限界と向き合ってどこまで真剣に考えられるか、わかりやすく言えば、ひっぱたきたい気持ちの赤木氏と向き合ってどこまで真剣に格差問題を考えられるか。

ここでも本気論が・・・

日経ビジネス2008.1.7新年特大号の特別対談-岡田武史監督平尾誠二監督-を読んで思ったのは

今の子はまじめだとは思うけど、真剣じゃない。僕らの頃はやっぱり真剣だったよなあ。だから、負けたら「何でおまえ、こうやらないんだ」と言い合った。
もし真剣に勝ちたいのなら、「これじゃ勝てない、こうしてくれ」と言わなきゃいけない。みんなで慰めあっていても勝てっこない。でも本気で真剣になって、味方を罵倒するやつなんかいなくなったもんな。

それは今の“子”だけの問題じゃない。今の“時代”の問題なんだよ。子供に本気になれ!って言ったって難しいよ。
社会全体でその流れをどう作るか。本気で真剣に物事に取り組めるか。空気なんて読んで顔色うかがってる場合じゃないっす。

最後に

いろんなこと、少しずつでも、本気で考えていきたい。25歳はもう自分で考えられる歳だよね?2008年はもっともっと本気でいろんなこと考えていきたい。当ブログ、ねこにっきは私の「本気で考えること」のアウトプットの場としてありたいと思う。