愛の方程式?

「早く帰らないと伸びないですよ。早く帰らないと人間的に成長しないですよ。」

前にいた部署の先輩の言葉だ。結構印象に残っている。ただその根拠を尋ねなかったことは失敗だったと思ってる。そんな時、日本経済新聞朝刊のコラムを読んだ。


20060226日本経済新聞5面 インタビュー領空侵犯 石田衣良「デート法」を制定せよ。残業を禁止、人生豊かに

―残業を法律で禁止すべきだと主張されていますね。
少子化を食い止めるために必要です。30-34歳の未婚率は男性で47%、女性で32%。異常な高さです。働く時間が長すぎるから恋をしたり、遊んだりする時間がなく、疲れ果てている。
(中略)
―働き過ぎは文化にも影響があるとお考えですね。
池波正太郎はエッセーで『大人の人間が遊ばない国の文化はダメになる』と書きました。会社人間の男性は音楽を聴かず、演劇や映画も見ない。仕事漬けで定年を迎えてしまいます。受け手がこれでは文化も育ちません。

働き過ぎが少子化と文化停滞をもたらす。社会と個人という差はさておき私の先輩も石田衣良さんも同じようなことを言いたかったんだと思う。


■私自身、結婚したり、子供ができたら転職を考えると思う。今の働く時間を減らして家族に使いたい。「考える」という言葉の通り、辞めるなんて言ってないし、それはパートナーと相談してのことだと思う。今の私の考えでは家族のためにある程度の時間を使いたいと思ってる。

愛情=愛情の深さ×愛情を注ぐ時間
ふと方程式を思いついた。他にもいろいろな要素が絡んでくるんだろうけど、愛情がいくら深くても注ぐ時間がなければ駄目、いくら時間があっても中身が入ってないと駄目。愛情と少子化がどう関係するのかは知らないし、不妊問題は愛情だけでは語れない。そのあたりは『仕事とセックスのあいだ』でも読んでくれ。*1そして、愛情の方が仕事よりも自分への跳ね返りが大きいし確実のような気がする。もちろん心のことは論理的には説明はできない。


■文化に関しては微妙なところだし、半々くらいだと思う。忙しいから文化活動ができない、平日の疲れが休日を駄目にするって本当?毎日注ぎたい(注がなきゃいけない)愛情と違って文化活動は本人の問題が大きいはず。
そもそも文化活動に関する意識が減少してきているし、いつからか文化活動<経済活動になってしまっている。マスコミがホリエモンとかばっかり特集するから、、ミリオネアとかも絶対良くないと思う。
少し前は会社だって「メセナメセナ」言っていたじゃないか。企業メセナはいつからなくなったのだろうか。CSRという言葉に置き換えられたのか。メセナ−文化活動、CSR−環境活動とすごく大まかに言うのであれば、両方とも持続しなきゃいけないもので置き換わるものじゃない。
今は文化に関する意識は対外的に入ってきづらくなっているんだと思う。だからこそ自分で文化活動をしなきゃいけない。



結局みんなが言いたいことは仕事(経済活動)よりも愛情とか文化活動の方が人を大きくするってことじゃないのかな。


追記

私は申し訳ないけど、石田衣良さんを全然知らないし池袋ウエストゲートパークとか見たことも無いしCMくらいだけど、なんとなく話が想像できたような気がする。一般社会に反発した若者が、池袋に集まり小さな社会を作って、(そこで結局は経済や政治があって)面白おかしく話が展開していく感じだろう、違うかな?
石田衣良さんが言葉と行動が一致する人なら、池袋ウエストゲートパークのテーマは性と文化なんじゃないか。それは見ていない私にはわからないし、今後も見る予定はないのだけれども・・・。

言葉と行動が一致できる人は格好良いことは間違いない。

*1:


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