人生は1行で決まったりする、かもしれない

今月は読書月間になっている。というか、今ごろになって速読術が効いてきたのか読むスピードが異常に早くなっている希ガス。読む時間はむしろ減っているような気もするのだが、もう20冊だ、明らかにおかしい。その20冊の中でも一番良かったのが『企画書は1行』という新書。
企画書および提案書を書く機会のある人は必ず読んでおいた方が良い本。何か自分の言いたいことを文字で伝えたい人、伝えなくちゃいけない人は読むべき本。
むしろ文字じゃなくてもこの本は応用できる。気になるあの子へ告白メール、恋人へのプロポーズにどうぞ。だって700円のお買い得。これで企画(=想い)が通るようになれば儲けもんじゃないですか?みんな買うべしだよ。

企画書の一行とは読んだ人の脳裏に風景を映し出すことなのだ。(中略)
企画書の一行とは文字をいじくるのではなく、頭の中に浮かんだ映像を言葉にすること。そして、相手の頭の中に同じ映像を映すことができれば、企画は結実する。

自分の脳と相手の脳がシンクロする。相手に「あ、それ!」「すごい」と思わず言わせてしまう一行が実は多くの人生を動かしていると思う。

自分自身のことを言えば「日本代表になれる」という言葉でラクロス部に入部した。結局はその時抱いた映像は叶わなかったのだが、それ以上の経験をしたと自信を持っていえる。あの時の先輩の一行(=一言)がなかったら私の人生は終わっていたかもしれない。


実を言えば就職活動だってそうだ。わたしは社長との最終面接後30分も経たないうちに近くのインターネットカフェから社長宛にメールを送ったのだ。「○○社長様 ご苦労様でした、本日はお忙しい中、面接ありがとうございました・・・」いや、今思い出せばもうお恥ずかしい限りなのです。
しかしその甲斐あってか、わたしはここに居るし、その社長のそばで働いている。あの時メールを打った時点で私の働く場所は決まって居たのかもしれない。私の一行が社長を動かした、、、のかもしれない。


ある人が会社でとあるお客様に粗相をしました。実はかなりの粗相で、そのあと上司に相当に怒られました。会社に対して申し訳ないことをした、会社の利益を大きく損ねた・・・深い反省をした彼がその後とった行動はなんでしょう?
彼は家に戻り、ペンをとりました。粗相をしてしまったお客様に個人名でお詫びの手紙を書いたのです。「○○様 本日は本当に申し訳ございませんでした。この手紙は誰に言われたものでもないですし読んだその場で捨てていただいても結構です・・・」彼はこの話を上司にはしていません。会社の利益云々よりも申し訳ないことをしたという気持ち、自分の心から出た手紙だったからです。数日後その誠意が届いたのか、お客様から返事の手紙をもらいました。「あなたのような人と一緒に働きたいです、何かありましたらうちの会社にきませんか・・・」と誘われたのです。


上の例は企画書ではない、「狙って」いないからだ。
『企画書は1行』この本には、狙って一行を書く、書けるようになるノウハウが詰まっている。様々な事例を引用して実現する企画書の特徴を分析している本だからだ。確かに、この本を読んで企画書のノウハウはある程度手に入るのかもしれない。ただ、狙う狙わないは別にして自分の本当の気持ちが入っているかが、何よりも大事なことは間違いない。


野地 秩嘉 / 光文社
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一行の役割を再認識
企画書は1行、ベストセラーはタイトル
相手の頭の中に映像として企画を送り込む