時代の力に逆らわず、適応すること

インテル戦略転換を読んでいる。
インテルが幾度となく経験した戦略転換が詳細に語られているだけでなく、戦略転換は企業だけでなく個人にも同様に必要であることを再認識させられる本である。


アンドリュー・S. グローブ
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ごく最近まで、大企業に就職すれば退職するまで職は保証されたも同然だと考えられていた。しかし、企業の寿命ですらそれほど長くないこの時代に、どうして終身雇用を保障できるというのだろう。
(中略)
悲しいことに、他人があなたのキャリアの責任を取ってくれるわけではない。あなたのキャリアは、文字通りあなただけの問題なのだ。あなたは自分のキャリアの個人事業主だと言える。

不景気によるリストラ、不祥事、ストレスによる現代病、インターネット普及による競合他社の進出の容易性、BRICなどの環境の変化、今や企業は個人の職を保証するものではないと思う。個人の職を保証するのは、スキルであり、アイデアであり、知識であり、外部に依存するものではなく、個人の中にある。

このようなことをいろいろ考えていると、大企業に依存しない人は、様々な企業で重宝される普遍的な力をもつ人材を目指すべきだし、大企業の中の人は、自社内で評価されるだけでなく、他社でも評価される人材を戦略的に目指すべきだという結論にたどり着く。


ここ2、3年の自己啓発本、勉強本ブームは、単なる出版社のマーケティングに基づいた一過性のものではなく、時代の力が大いに働いている。ブームという瞬間的なものではなく、時代が変わったことにより、個人としても戦略の転換が求められている。今起きていることを正確に捉え、戦略的に行動する、=時代の力に乗ると言うことなのだと思う。

本書では、戦略転換点がどこにでも起こり得るものであることを示そうと試みた。戦略転換点が、現代に特有の現象でも、ハイテク産業に限定されたものでも、他人にのみ起こりうるものでもないことを示したかったのだ。
(中略)
ここで注目してもらいたいことは、どの事例をとっても、戦略転換点が訪れると必ず、勝者と敗者が生まれるということである。そして、勝者となるか、敗者となるかは、その企業の適応能力にかかっているということだ。