地頭力があればコンサルタントにはなれるかもしれないけど、社長にはなれない

地頭力を鍛える、という本が売れている。簡単に言うと、仮説思考+論理思考の本であり、その中でもフェルミ推定という手法をうまく取り上げている。日本では「たら、れば」の話を否定する人が(特に年配の方に)多いけれど、この本は「たら、れば」を論理的に積み重ねて解答を出すことが大事だよ、ということを述べている。

そもそも鍛えられる地頭力ってなんだよ!というツッコミは横に置いておく。それは地頭とは言わないよ。。。


amazon紹介文より転載
企業、特にコンサルティング会社の採用現場などでは、単に頭がいい人ではなく、「地頭のいい人」が求められている。
インターネット情報への過度の依存が思考停止の危機を招き、検索ツールの発達による「コピペ(コピー&ペースト)族」が増殖しているいま、「考える」ことの重要性がかつてないほどに高まっているからだ。これから本当に重要になってくるのはインターネットやPCでは代替が不可能な、膨大な情報を選別して付加価値をつけていくという、本当の意味での創造的な「考える力」である。本書ではこの基本的な「考える力」のベースとなる知的能力を「地頭力(じあたまりょく)」と定義している。

仮説思考+論理思考はもちろん仕事に非常に重要な能力であり、それこそ鍛える必要がある。組織の中では、上から言われたことをいかに忠実にこなすか、に自分の能力の全てを使っている人が多くいる。任務遂行能力とでも言えばよいのだろうか、上記紹介文にコピペ族と書いてあるような人たちである。

それに比べればここでいう地頭力を重視するようになったのは非常に大きな進歩だと思う。ただ、地頭力だけでは足りない。地頭力は仕事のほんの一部でしかない。

地頭力ともう一つ

そもそも働いていく上で必要な能力は2つに分類できると思う。

  • 問題解決能力
  • 問題発見能力

地頭力とは問題解決能力ではないだろうか。
「富士山をどうやって動かしますか?」のマイクロソフトコンサルティング業界ではもちろん一番重視されるのは問題解決能力であることは間違いないだろう。
マイクロソフトではビルゲイツが問題を発見してくれる、コンサルティング業界ではクライアントが問題を発見してくれる。このような企業では問題が与えられるために”解決”能力が一番に重要視されるのだ。だから、マイクロソフトでもコンサルティング業界でも、地頭力を超えて問題発見能力のある人は自ら会社を起こす。

答えもない、方法もない、そんな中から解決方法を仮説思考を繰り返して見つけ出していく能力はもちろん非常に大事である。ただ、それが全てではない。もちろん、人が生きている限り、問題がなくなることはないだろうから地頭力がある人は食いぶちに困ることはない。

解決よりも発見

ただ、ちょっと待てよと。問題発見能力のある人は問題解決能力のある人を使うことができるんだ。
ここはむしろ、解決能力に磨きをかけるのではなく、それこそ問題発見能力を”鍛える”べきではないだろうか?