社会人3年、ワガママ、、、そして

両著書に共通するのは雇用慣習の変化の提言。ゆっくり急がず、昭和的でもない、アメリカ的でもない、日本的な雇用体制が整っていけばよいと思う。今の若者に求められているものは「内なる黒船」としての役割なのかもしれない。

パラダイス鎖国−忘れられた大国・日本

パラダイス鎖国」・・・わたしは日本人論として大いに楽しませて頂いた。そもそも日本(日本人)は昔から鎖国志向であって、個人の生活を見ても、個々の会社を見てもそうである。その集まりが国家。
日本で革命が起こるとも考えられず、これは強制力がないと鎖国志向は解かれない。
では、強制はどこからやってくるか。外からである。歴史に「もし・・・」という言葉が使えるのであれば、一つだけ想像したいことがあります。

「もし、日本が世界に見つかっていなかったら・・・」


諸説あるけれど大陸から人が日本列島に移り住んだとして、その後日本が世界に見つからなかったらどうなっていただろうか。

  • 大陸は狩猟ができなくなったとき、どうしたか。−新たな大陸を探した。
  • 日本は狩猟ができなくなったとき、どうしたか。−農耕をはじめた。

この違いは非常に大きい。大陸には未だに定住を決めず、遊牧民として生活する人がいる。日本はその人たちのようになることはできない。「もし、日本が世界に見つかっていなかったら、今も自分たちだけで生活してたんじゃないのか。」つまり、日本は発見されたから、大きくなった。日本は発見されたから、世界2位の経済大国になった。日本は遊牧民族に発見されたんだ。

先日、英エコノミストにJAPA"I"N特集が組まれた。要は「日本は大丈夫か?」ということである。日本はジャブを打たれたんだ。
この本「パラダイス鎖国」は決して日本人論をうたっただけの著書ではない。パラダイス鎖国である日本に問題意識をもって書かれた本である。あぁ、日本ってこんな状態かもしれない・・・で終わってはいけない。
一人一人が「内なる黒船」として「日本は大丈夫か?」の問いに答えていかなければならない。まず、自分たちの置かれた立場を把握するために、この本は貴重な一冊となるだろう。
著者のブログを紹介。1年前くらいから読んでいますが、ためになりますので是非。女性がもっと読んだほうがいいのかも→michikaifu’s diary

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか−アウトサイダーの時代

城繁幸さん最新本。何気に「内側から見た富士通 成果主義の崩壊」から著書を持っていたりします。
「雇用流動化の正の部分を捉えた偏った本」という言い方は、著者をけなしているようですが、実は私も雇用流動化すべき派。マクロ的に雇用流動化すべきと言ったのが、上記で紹介した「パラダイス鎖国」なのであれば、ミクロ視点で捉えたのがこちらの本。

とりあえず、社会人1〜5年目くらいは必読(明日入社する新入社員はまだ読んじゃいけない)。
まず目次から見てほしい。ここにこの本の全てが詰まっている。この目次だけでこの本はもっとベストセラーになる。404 Blog Not Found:Boys & Girls, Be Selfish - 3年で辞めた若者はどこへ行ったのかより目次を転載。danさん、ありがとうございます。

はじめに
第1章 キャリア編
昭和的価値観1「若者は、ただ上に従うこと」--大手流通企業から外資系生保に転職、年収が二〇倍になった彼
昭和的価値観2「実力主義の会社は厳しく、終身雇用は安定しているということ」--新卒で、外資投資銀行を選んだ理由
昭和的価値観3「仕事の目的とは、出世であること」--大新聞社の文化部記者という生き方
昭和的価値観4「IT業界は3Kであるということ」--企業ではなく、IT業界に就職したという意識を持つ男
昭和的価値観5「就職先は会社の名前で決めること」--大手広告代理店で、独立の準備をする彼
昭和的価値観6「女性は家庭に入ること」--女性が留学する理由
昭和的価値観7「言われたことは、何でもやること」--東大卒エリートが直面した現実
昭和的価値観8「学歴に頼ること」--会社の規模ではなく、職種を選んで転職を繰り返し好きな道を切り開く
昭和的価値観9「留学なんて意味がないということ」--大手企業でMBAを取得後、安定を捨てた理由


第2章 独立編
昭和的価値観10「失敗を恐れること」--大企業からNFL
昭和的価値観11「公私混同はしないこと」--サラリーマンからベストセラー作家になった山田真哉
昭和的価値観12「盆暮れ正月以外、お墓参りには行かないこと」--赤門から仏門へ、東大卒業後、出家した彼の人生
昭和的価値観13「酒は飲んでも呑まれないこと」--グローバルビジネスマンからバーテンダー
昭和的価値観14「フリーターは負け組だということ」--フリーター雑誌が模索する、新しい生き方
昭和的価値観15「官僚は現状維持にしか興味がないということ」--国家公務員をやめて、公務員の転職を支援する生き方
昭和的価値観16「新卒以外は採らないこと」--リクルートが始めた、新卒以外の人間を採用するシステム
コラム(1) 企業に求められる多様化とは
昭和的価値観17「人生の大半を会社で過ごすこと」--職場にはりついているように見える日本男子の人生
昭和的価値観18「大学生は遊んでいてもいいということ」--立命館vs昭和的価値観
コラム(2) 二十一世紀の大学システム
昭和的価値観19「最近の若者は元気がないということ」--日本企業を忌避しだした若者たち
昭和的価値観20「ニートは怠け者だということ」--「競争から共生へ」あるNPOの挑戦


第3章 新世代編
昭和的価値観21「新聞を読まない人間はバカであるということ」--情報のイニシアチブは、大衆に移りつつある
昭和的価値観22「左翼は労働者の味方であるということ」--二一世紀の労働運動の目指すべき道とは)
コラム(3) 格差のなくし方

あとがき

この目次を読んだだけでおなかいっぱいになりそうである。昭和的価値観「○○○」を--以降の△△△がくつがえす。この対立構造が若者を魅了する、若者を応援する。

この一つ一つが社会人3年の若者であるわたしにズシリと重い。同じような気持ちになる人は多いだろう。ここにある一つ一つの成功体験がわたしを揺り動かそうとするのだ。きっと、もっといい環境はある。環境が人を変える、逆に言えば、環境が自分の枠を決めてしまう。

著者のブログを発見した。これから定期的にチェックしていこうと思う→Joe's Labo

同年代の人たちへ、そして3年目の自分へ

ここでもう一度、「パラダイス鎖国」の紹介に戻ってほしい。日本を会社に読み替えて欲しい。あなたの会社にも「内なる黒船」が必要ではありませんか?ゆでガエルになっていませんか、社内の物差しだけで計っていませんか?
4月というこの機会に自分の会社を見直してみませんか?

「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」の帯には「もっとワガママに生きろ!」とある。ふと、会社で周りを見てみる。誰がワガママか?・・・おれが一番ワガママなんじゃないのかwと思ったりもする。
もっとワガママに生きていいんですか?