人生を楽しむための7つのしないこと:『すぐ動く人は知っている』竹村尚子

成果の差を生み出すのは、このわずかの違いだった。
世界のトップ20に選ばれた女性ファンドマネージャーが明かす7つの「しないこと」

久しぶりに読んだ自己啓発ビジネス書がなかなか良かったので、ご紹介。
タイトルと本文の内容にズレがあるのは、著者の意向ではなく出版社の戦略でしょう。この本の正しいタイトルは、本の帯にもあるように「人生を楽しむための7つのしないこと」です。


著者の経歴や本の中にも書いてあるように彼女は帰国子女であり、いわゆる一般的な帰国子女らしさ、というものがこの本の中からも多く感じ取れます。そこで、一つ思ったのは「帰国子女の考え方(帰国子女らしさ)というものが一つの成功要因になっているのではないか?」ということです。

帰国子女 - Wikipedia
●特徴
外国の文化圏で育ち、異文化を体験することによって得た「国際感覚」(外国や外国文化に対して、プラス・マイナスどちらの偏見もなく、対等に接する感覚)、日本と外国の両方を(本音の見えやすい)子供の頃に比較した経験、それに伴う日本への愛国心の芽生え、程度は様々であるものの、滞在国の言語に優れていることなどがあげられる。特に最大の特徴は、比較的若齢期の、価値観が未完成の段階に自らの意思にはかかわらず外国に渡っている点である。つまり、価値観形成後に、外国にあこがれて自ら希望して外国に渡った留学生と異なる(留学生と帰国子女の違い)。

1.グローバル経済の影響
否が応でも、グローバル経済に飲み込まれる中で、世界基準の考え方ができる人が重宝されるのは必然。日本的考え方をする人は、世界から見れば、言わばガラパゴス化現象の一つの象徴となっている。
2.多軸的な考え方
世界基準の考え方ができる一方で、日本基準の考え方もできることの強み。自身の仕事などにグローバル経済との接点がなくとも、日本の中で何をすれば特徴があって、刺さるのかということを多軸的な考え方で直感的にわかる。
3.宗教的な考え方
これは完全に私のうがった見方かもしれない。帰国子女の人には、(たとえば)キリスト教の考えが根本にあるような気がする。この本の中にも「神様に愛される人になりなさい」という章があるように、世界のため人のため、というメンタリティが帰国子女の人にはある。

以上のような3つの帰国子女的な考え方は、現代の成功要因の一つとして成り立っているような気がする。一昔前のように、帰国子女がいじめられたり、帰国子女が会社内で変な目で見られることが少なくなりつつあるのではないか。
これからの日本の発展のための一つの施策として、帰国子女メンタリティをどう取り入れるか、というのは重要ではないだろうか。(帰国子女をどう増やすのか、どう活かすのか、ではない。)

読書メモ

■まとめ
いいアイデアが浮かんだら、すぐ人に話す。
わからないことが出てきたら、すぐ人に電話して確認する。
この人に会いたいと思ったら、すぐアポイントをとる。
買うと決めたらすぐ買い、売ると決めたらすぐ売る。
やりたいと思ったこともやりたくない仕事も、すぐにとりかかり、さっさと終わらせる。
失敗しても反省なんかしていないで、すぐに次の手を打つ。
ここぞというときにはもちろん、普段のちょっとした仕事も、すぐ決断、すぐ行動を心がけてきました。
そうやって、すぐに動くことで夢や希望をいつのまにか実現させてきたのです。

■チャンスが来た瞬間だけは全身全霊でぶつかる
私はこのチャンスをどうしてもつかまなければと思ったのです。
私はこれまでの人生の中で、一度として上司や上の立場にいる者にお世辞を言ったり、取り入ったりすることはありませんでした。
ですが、生涯でたった一度だけ、このとき面接してくれたクレフのファンドマネージャーあてに「私はあなたと働きたい」という、今思えば歯の浮くようなメッセージを書き、ホテルのフロントに残してきました。
ここがチャンスだと思ったら、その瞬間だけは、全身全霊でぶつからなけらばいけない。
人間、誰にでもチャンスがきます。ただ、それに気がつくかどうかです。そして、それに気がついたら全力をあげて、命がけでつかみにいくことです。

■明るい未来にプレミアムがつく
たとえば、これからは高齢化社会が進んでいく。すると寝たきり老人が爆発的に増えるだろう。介護用品や介護食は今よりも必要になるだろうし、介護従事者はもっと増えるに違いない。介護市場は間違いなく拡大する。だから介護ビジネス株やベッドの株が買いだ!という考えで株を買いたいとは私は思いません。
そんな暗い将来を誰が望んでいるのでしょうか。
人の不幸によってもうかる企業を、誰も応援したくはないと思います。だから暗い未来によってメリットを受けるような会社にプレミアムはつきません。
たくさんの人を幸せにしたり、不可能だった夢を実現させてくれる、そんな明るい未来を作る会社にプレミアムがつくのです。

■失敗を反省している暇はない
成功する人はそのイメージを明確に持っています。だからこそ楽しいし、わくわくします。そしてそれに向かって迷うことなく努力できるのです。
物事は「何となく」というぼんやりしたものでは成功しません。目標を達成したときのイメージをはっきりしたビジョンとして持って、絶え間なく努力することが大切なのです。

■誰かが気づいてくれるなんてただの幻想にすぎない
人にいくら説明しても、なかなか自分のことをわかってはくれません。どうせ言ってもわからない。だから一生懸命説明して、プレゼンして、それでもわかってもらえなくて、でもめげずに言い続けるのが、人間関係の本質です。
黙っていても、一生懸命やっていれば、誰かが気づいてくれる。それは幻想にすぎません。まずは、口に出すこと。そうhしなければ、彼女の希望は誰にも伝わりません。もしかしたら希望の仕事があるかもしれないのに、言わなければ、そのチャンスはめぐってこないのです。反対に、言えばチャンスに出会える確率はあがります。

■有言実行することで言葉に魂が宿る
有言実行のいいとことはもう一つあります。それは、言ったからにはやらなければいけなくなり、それが自分にとっていいプレッシャーになることです。
人間はほうっておくと怠け者になりがちです。誰にも言っていないときは、誰も知らないのだからできなくてもいいや、と思ってしまいます。みんなに公言してしまうとプレッシャーのかかり具合が違ってくるのです。
私が有言実行を大切にする理由はそれだけではありません。
よく、言霊といいますが、魂が言葉に宿ることはあると思います。
私の場合は言葉に出すことによって、自分の想いが明確になり、決意が固まるという作用が起きます。
人に話しているうちに「あ、そうなんだ。私は本当にこうしたいんだ」と気付く。頭の中でぼやっとしていたものが、人に説明しているうちに、はっきりと形になってまとまってくるのです。